私が妊娠したとき、父は私の意思決定とその行為に猛反対しました。
最初に妊娠を伝えたときのことは、今でも鮮明に覚えています。
父は机に突っ伏して、「元の姿に戻ってくれ!」と嘆いていました。
まるで、私が何か取り返しのつかない状態になってしまったかのように。
母と一緒に病院に行って、先生に「娘に堕ろさせるように」と掛け合ったこともありました。
私の気持ちよりも、「世間体」や「これからの人生」を心配してのことだったのだと思います。
それでも私は自分の意思を貫き、子どもを産むと決めました。
父の誕生日と、私の妊娠が確定した日
産後しばらくして、父にどうしても伝えたいことがあったので、
普段はあまり内容のある会話をしない関係ですが、父に話しかけました。
私が病院で正式に妊娠を診断された日と、父の誕生日が同じ日だということを。
そのことを父に伝えたとき、彼は特に驚くこともなく、ただ静かに聞いていました。
そのときの父の心情はわかりません。
4歳の誕生日と、父の変化
子どもが4歳になった今年の父の誕生日。
平日だったので、夕方にケーキを渡してその日は終わりでしたが、
私は子どもと一緒に「おめでとう」とお祝いに行きました。
すると父は 「おめでとう!」 と何度も子どもに言い返してきました。
最初はなんのことかわからず、子どももポカーンとしていました。
でも、私はすぐに気づきました。
父はあの日のことを覚えてくれていたのだ、と。
父の誕生日は、私が「母になる」と決まった日でもあった。
きっと父も、そのことを思い出していたのだと思います。
そして、何度も「おめでとう」と言ううちに、父が泣き出しました。
私も気づいた瞬間から、涙が溢れました。
玄関先での出来事だったので、父には私の泣き顔は見られていなかったと思います。
でも、子どもと家に帰る車の中で、私はずっと涙を流し続けました。
父はまだ謝ってないけれど
父は、妊娠当時のことを直接謝ることはありませんでした。
でも、この出来事は、彼なりの懺悔だったのかもしれません。
あの頃、父は「元の姿に戻れ」と願いました。
でも今、私の子どもを愛してくれて、誕生日に「おめでとう」と言ってくれる。
父の変化を感じた、忘れられない一日でした。
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