選択的シングルマザーとして子どもを育てる中で、父親不在という事実をどう伝え、子どものアイデンティティを支え、提供者(ドナー)に関する情報をどこまで共有するかというのは、私が選択的シングルマザーになる前に一番考えたことであり、今でも考え続けていることです。
今回のブログは、いろいろな情報を漁り、自分なりに考えて身につけた知識や道徳です。ただ、どこで得たのか覚えていないため、はっきりとした出典は示せませんが、現時点での私の考えをまとめてみました。
1. 父親不在をどう説明するか?
ポイントは「年齢に合わせて、正直に、安心をもたせること」
子どもが成長するにつれ、「うちにはどうしてお父さんがいないの?」という質問をする時期が来ると思います。
小さな子どもには抽象的な話は難しいので、年齢に応じて説明を分けていきます。
▼ 幼児期(3〜5歳くらい)
「お母さんはあなにとっても会いたくて、1人で生んだのよ。お父さんはいないけど、お母さんがたっぷり愛して育てるよ」
この時期は「安心感」が一番大事。とにかく子どものことを「愛している」ことを伝えています。そして、お父さんがいないことも隠さずサラッと言っています。
お父さんがいないことをサラッといえるようするために、私は本の力を借りました。
(後者は、ついでに”人間”にもいろんな人がいるというのを知ってほしかっただけ。笑)
家族の形は色々あるということを自然に伝えたいと思っていたので、あらかじめこの2冊を準備し、子どもが本に興味を示すようになってからは、できるかぎり一緒に見るようにしていました。
私の言葉を理解するようになってからは、
「この子は、あなたとお母さんと同じような家族だね」
「この子は、お父さんだけがいる家族なんだね」
「おじいちゃんとおばあちゃんと子どもだけの家族もいるね」
と話しかけていました。
「普通の家族のあり方」=「いろんな家族形態がある」という概念でいてほしいなと思っています。
▼ 小学校低学年〜思春期
「あなたのことは、お母さんが心から望んで生んだの。お父さんという存在はいないけど、医療の力を借りてあなたが生まれてきたのよ」
少しずつ「ドナー」や「医療的支援」「精子提供」といった概念を導入していく時期なのかなと思っています。子どもが混乱しないよう、段階的に伝えることが大切です。
子どもから質問されたときに、答えにまごつかないようにだけはしたいなと思っています。
2. アイデンティティ問題への対応
「自分はどこから来たの?」という問いに向き合う
思春期以降、「自分のルーツ」に関心を持ち始める子どもも少なくありません。特に、ドナー精子で生まれたことを知った場合、「自分の半分は誰なのか?」という葛藤を持つことがあります。
大切なのは、否定せずに気持ちを受け止めること
「そんなこと気にしなくていい」ではなく、
「そう思うのは自然なことだよ。あなたが自分を知りたいって思うのはすごく大事なことだと思う」
と、受け止めて、その時の子どもの年齢や知識、環境と照らし合わせながら、子どもにどこまで話せるか考えながら伝えたいと思っています。
自己肯定感を育てる関わり
日常の中で
「あなたは大切な存在」
「あなたがいてくれてお母さんは本当に幸せ」
というメッセージを繰り返し伝えることで、「自分は愛されて生まれてきた」という確信がアイデンティティを支えます。
これは、私が本当に本当に毎日気をつけていることです。自分の発した言葉すべてに責任を持てるように、夜眠った子どもに泣きながら「ごめんね」って言わなくていいように、常に言葉でも所作でも「大好き」を伝えようと思っています。
3. 提供者情報を子に伝えるべきか?どこまで伝えるか?
国や施設によって「開示可能な情報の範囲」が異なる
- 匿名ドナーかオープン・ドナー(将来的に連絡可能なドナー)かによって、子どもが知れる情報は違います。
- 日本では、まだ匿名ドナーが多い状況ですが、近年は「アイデンティティ開示型」の制度も検討されています。
情報開示の判断は「子どもの成長と希望」に合わせて
子どもがドナーについて知りたいと強く願う場合は、たとえ情報が限られていても、できるだけ共有するのが望ましいとされています。
例:
- 血液型や身長、趣味や職業など、提供元のクリニックから得られた情報
- 医療上重要な遺伝情報(遺伝性疾患の有無など)
「すべてを話す」必要はなくても、「隠さない」姿勢が大切
大人が思っている以上に、子どもは空気を感じ取ります。言わないことで「何か隠されている」と感じさせるよりも、
「いつでも聞いてくれていいよ」というスタンスを保ち、「知る権利」も尊重したいと思います
最後に:子どもに一番伝えたいこと
どんなルーツであれ、「あなたは愛されて生まれてきた」というメッセージは変わりません。その一貫した想いが、どんなアイデンティティの揺らぎも乗り越える土台になれば良いなと思い、毎日子どもと向き合っています。
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